昨年の11月に第10回国際絞り会議(10th International Shibori Symposium)
という国際会議が、メキシコのオアハカという都市で開催されました。
そこで主催者であるアメリカ在住の染織研究家として著名な、ヨシコ・ワダさんから
お誘いを受け、久留米絣の業者として初めて会議に参加して参りました。
今回のテーマは「Shibori,Ikat,and Sustainability:Land,Culture,and People~絞り、
絣、持続可能性:風土、文化、人~」です。「Ikat」は絣を意味し、
我々が参加することがテーマにも盛り込まれております。
ちなみに「Shibori」という単語は、この業界において世界共通語となっているそうです。
絣も「Kasuri」と世界共通語となる日が来るんでしょうか?
オアハカという都市は中心部は歴史地区で、
古い教会に色とりどりの家屋が立ち並んでおり、ユネスコ世界遺産として登録されていて、
とても素敵な街並みです。
会議では全世界から学者、愛好家、職人、販売者などが集結し、
いろんな内容のプレゼンテーションや実演など盛りだくさんの内容でした。
私はその中で「久留米絣とオカモト商店との取り組み」という内容で、
プレゼンテーションをおこないました。
弊社の歴史、機屋さんとの関係性、ブランド、地域との交流などの内容を話し、
来場者の皆さんも興味深く聞いていただきました。
会議では様々な催しが行われました。
こちらはメキシコの民族衣装です。部族ごとに個性が異なる衣装です。
ちなみにメキシコにも絣は存在しております。産地はメキシコシティ近くのテナンシンゴという
村で、ハスペというらしく、主にレボソというショールとして使われているそうです。
久留米のように据付けられた織機で織り上げるのではなくバックストラップ(腰機織)という、
自分の体を使って腰でテンションを張りながら織り上げられていました。
また、この地方では見た限り経絣(たてかすり)で織られており、
久留米絣よりも生地巾は広く約70cmあり、高密度で光沢のある素材です。
また、このハスペの特徴は織りもさることながら芸術的な房に感動します。
ちなみに織りは男性、先端部分の房作りは女性の仕事だそうです。
今回の特別企画、メキシコ人のファッションデザイナーである
カーラ・フェルナンデスさんによる、ハスペ・久留米絣のコラボレーション企画が実現しました。
もともと、メキシコの伝統にベースをおいたモノづくりをおこなってきたカーラさんによる、
久留米絣の特徴をつかんだ素晴らしいコレクションでした。
マノマヒカというギャラリーでは弊社商品のテスト販売をおこないました。
多くの方に久留米絣お買い上げしていただき、特にもんぱんの評価が高く、
皆さんこぞって購入後、着用していただきました。また、手くくりの体験もおこないました。
会議に参加し、様々な人達と触れ合い、
また、見知らぬ事を勉強し、たいへん充実した海外出張でした。
いつか、久留米絣とメキシコの絣とのコラボレーションをおこない、
絣を通じた国際交流を実現できる事をしたく帰国の途につきました。
以上、メキシコ、オアハカのリポートでした。
野口英樹