服をつくるとき『制約』というものが常に付きまといます。
挙げるときりがありませんが、今回は2つお話しします。
1つ目は、お客様の年齢・体型にかかわること。
一概には言えませんが、若い世代で体型に悩みがなく、
トレンドが主体という服であれば自由に可愛く・かっこよくつくることは
ある程度は可能でしょう。
しかし、儀右ヱ門世代の場合はそうはいきません。
体型に悩みがあり、トレンドを追いすぎればなんだか年齢とは不釣り合いになり、
ともすれば下品にもなりかねません。それから着心地も大切です。
装うということには「自分をよりよく見せる」という意味もあります。
儀右ヱ門世代の服は体型の悩みを上手にカバーした上で程よくトレンドを取り入れ、
女性らしい可愛らしさや美しさが表現できるように意識し、
着心地よく仕立てなければなりません。
2つ目は、デザインと素材の相性問題。
儀右ヱ門は久留米絣のブランドですから、当然久留米絣を使って服をつくります。
絣は多くの工程とテクニックによって織り上げられる、贅沢で素敵な素材です。
ところが風合いや生地巾、綿織物などということから、
1つ目に挙げたことを形にするには、なかなか難しい素材だとつくづく思います。
一般のアパレルメーカーでは相性のよいデザインと素材で企画しますが、
儀右ヱ門は絣ありきでデザインを考えていきます。
では、相性がいまひとつの両者を相性よくするにはどうするか?
いつも悩まされることですが、どうすればより素敵に仕上がるかを意識しながら
様々なテクニックを使って両者を結び付けていきます。
(上手くいかないことも多々ありますが)。
そして最後は縫製工場さんのテクニックが加わり「素敵な子」に仕上がります。
『美意識』をもって、1つのアイテムをデザインしてパターンを引き、
絣と縫製工場さんの力を借りて『制約』に向き合っています。
利枝子